食器棚の奥には

額装を習い始めてから、暮らしのなかの装飾品について考えるようになりました。絵画を1枚額縁に入れ込んで壁に掛けてみると、一瞬でその空間の空気感が変化することを感じます。好きな絵、好きな写真は、皆さんに心の余裕や豊かさを気づかせてくれる存在でもあります。

ヨーロッパの人々の暮らしのなかには、絵画作品やその他のアート作品が、暮らしのなかで日用品として使用されながら、その本質的な価値を見出しているようにも感じます。日本人の感覚のなかでは、大切なものや高価な品々は蔵や納屋のなかにキレイに保管しておくといった美徳感があるようにも思えますが、ヨーロッパの人々のように良いものを日用品として愛用する価値の見出し方は実に見習いたい習慣でもあります。

額縁に入れた絵画を日常の生活のなかに装飾することを1つ取り上げてみても、絵画は人の目に触れられてこそ、その価値を見出されているのだということを彼らは実生活のなかで言わんばかりに表現しているようにも感じています。高価な食器はお客さま用として食器棚の奥にしまい込み、使用されている時間よりもホコリを被っている時間の方が長いことを最近になって悔やみはじめた自分でもあります。

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