サンドメニコ聖堂の十字架キリスト像

アレッツォのサンドメニコ聖堂には、チマブーエ最初期の作品とされる十字架のキリスト像があります。これはグリエルモやジュンタピサーノの板絵の流れを汲むものといわれています。このキリスト像は、苦悩や苦難のさまを体の形で表現しているように体をねじらせています。

色彩や装飾模様が簡略化され、周辺部分もピザンティン様式に見られた説明的なイコンから、装飾を重視した表現へと向かっているという専門家もいます。

キリストの身体の両脇にはひし形と円による装飾がパターンとして施され、その周囲の縁取りは外側が高くその内側が平らな部分という二段構造になっています。

金箔に覆われた絵画と一体化して十字架の形を作っています。外側が高くせりあがって絵画部が低くなっているのは、額縁のような視覚の誘導や光の効果を考慮していると思われます。