自然科学と美術

ヨーロッパのルネサンス期に描かれたいくつかの名画をながめておりますと、そこには以前の時代には感じることのできない新たな表現法や技法が読み取れることがあります。油彩技法の向上とともに洗練さを増す事細かな描写、解剖学の発展に基づいた知識による安定的な人体表現、さらには遠近法を用いることで得られる作品の奥行や立体感は、現代において美術を学ぶ者たちにとっても師匠と作者たちを仰ぎたくなるものばかりであります。当時の画家たちの多くは美術に関する技法を学ぶだけではなく、遠近法に関する幾何学や人体に関する解剖学を学んでいたなどと言われております。芸術作品を創作するうえで自然科学研究を熱心に行っていたレオナルド・ダヴィンチの存在はあまりにも有名でもあります。